求人媒体に掲載しても応募が集まらない。応募はあるものの、選考の途中で辞退されてしまう。製造業の採用では、こうした課題の原因が「募集の手段」ではなく「伝え方の設計」にあることがあります。自社の仕事内容や職場の様子が、社外の人にとって理解できる形で届いていないためです。
この記事では、採用における情報の届け方を整理する「採用コミュニケーション設計」について、その考え方と進め方を解説していきます。
採用コミュニケーションとは何か
採用における「伝える」の範囲
求職者と自社が接する場面は、求人票の文章、採用サイトの内容、会社説明会での説明、面接での対話、内定後の連絡まで多岐にわたります。候補者が自社に触れる場面はすべて、情報を伝える機会です。
多くの企業では、これらが別々の担当者・別々のタイミングで作られています。求人原稿は人事、会社説明会の資料は現場、採用サイトは制作会社、といった具合です。その結果、媒体ごとに伝えている内容が異なり、候補者から見ると自社の像が定まらない状態が生まれます。
採用広報・採用ブランディングとの違い
近い言葉として採用広報や採用ブランディングがありますが、指している範囲が異なります。採用広報は、自社の情報を発信する活動そのものを指します。オウンドメディアやSNSでの発信が代表例です。
採用ブランディングは、発信を通じて「この会社はこういう会社だ」という認識を形成する取り組みです。中長期で効果が現れる性質のものです。
採用コミュニケーション設計は、その手前にある工程です。誰に、何を、どの接点で伝えるかを決め、発信と体験の全体を組み立てます。広報やブランディングは、この設計の上に成り立ちます。

製造業の採用で「伝わらない」が起きる理由
製造業の採用では、他業種以上に情報が伝わりにくい事情があります。仕事内容の専門性、求人媒体への依存、情報更新の停滞という3つの観点から見ていきます。
仕事内容が社外の言葉になっていない
製造業の求人原稿では、担当工程や取り扱う製品名、使用する設備名が並ぶことがあります。同業からの転職者には伝わりますが、業界外の求職者や新卒者には、日々どのような作業をして、どのような技術が身につくのかが読み取れません。
社内では当たり前に使われている言葉ほど、社外に向けて説明し直す必要があります。ここを飛ばしたまま募集を続けると、応募母数が同業経験者に限られていきます。
情報が求人媒体だけで完結している
求人媒体は、自社を知らない層に対して募集を届ける役割を担っています。一方で、掲載できる文字数や形式には制約があり、職場の雰囲気や働く人の考え方までは伝えきれません。
求職者は媒体で応募を検討したあと、企業名で検索して詳細を確認します。このとき参照先となる情報が自社側に用意されていないと、判断材料が不足したまま応募の可否を決めることになります。
発信した情報が古いまま更新されていない
採用サイトを制作したものの、公開後に更新されず、数年前の社員インタビューがそのまま残っている状態は珍しくありません。
キャリタスが2025年卒業予定の大学4年生1,030名を対象に実施した調査では、就職活動中に企業の採用ホームページに「かなり目を通した」が67.9%、「目を通した」が28.3%で、合わせて9割半の学生が閲覧していました。また、デザインや情報が古いことによる志望度への影響については、「とても影響する」26.7%、「やや影響する」61.1%で、合計87.8%が関心や志望度が下がると回答しています。
新卒採用を対象とした調査ではありますが、中途採用でも応募前に企業サイトを確認する行動は同様です。作ることと同じくらい、更新し続ける前提での設計が求められます。
情報の発信方法や内容の見直しは、どこから手を付けるべきか迷いやすいポイントです。自社の採用コミュニケーションの整理や改善に向けた支援内容は、以下よりご確認いただけます。
採用コミュニケーション設計の3ステップ
ステップ(1)誰に:ターゲットを言語化する
はじめに、採用したい人物像を具体化します。職種や必要経験に加えて、どのような働き方を望む人か、前職で何に不満を持っている人かまで踏み込みます。
「若手が欲しい」「経験者が欲しい」という粒度のままでは、伝えるべき情報が決まりません。たとえば「異業種から製造業へ移りたい20代」と「同業で品質管理を担ってきた30代」では、知りたい情報も、不安に感じる点も異なります。
ステップ(2)何を:伝えるべき情報を棚卸しする
次に、自社にある情報を洗い出します。ここで有効なのが現場取材です。人事部門だけで作文すると、どうしても求人票の焼き直しになります。
実際に働く社員に話を聞くと、入社の決め手、仕事の難しさ、続けられている理由といった、外部からは見えない情報が出てきます。
集めた情報は、そのまま使うのではなく、先に定めたターゲットが知りたい順に並べ替えます。
ステップ(3)どう届けるか:接点ごとに役割を分ける
最後に、どの情報をどの接点で伝えるかを割り振ります。求人媒体は募集を知ってもらう役割、採用サイトは応募を判断してもらう役割、採用ピッチ資料は選考中に理解を深めてもらう役割、というように分担を決めます。
すべての接点に同じ情報を載せる必要はありません。重複を減らし、それぞれの役割を明確にすることで、候補者は段階ごとに必要な情報を受け取れます。

候補者体験(CX)のフェーズ別に接点を整理する
採用コミュニケーションは、候補者が自社を知ってから入社後に定着するまでの一連の体験として捉えると整理しやすくなります。以下は、フェーズごとの主な接点と、起きやすい課題をまとめたものです。
|
フェーズ |
主な接点 |
起きやすい課題 |
|
認知 |
求人媒体、検索結果、SNS |
自社を知る機会が求人媒体に限られている |
|
応募 |
採用サイト、求人原稿 |
応募を判断する材料が不足している |
|
選考 |
会社説明会、面接、採用ピッチ資料 |
面接官によって説明内容が異なる |
|
内定 |
内定通知、内定者フォロー |
内定から入社までの連絡が途切れる |
|
定着 |
受け入れ体制、オンボーディング |
入社前の説明と実際の業務が一致しない |
このうち、多くの企業で手が回っていないのが「内定」以降です。採用活動を応募獲得までと捉えると、内定辞退や早期離職の原因が見えにくくなります。入社後の定着まで含めて設計することで、どの段階で候補者が離れているかを把握できます。
設計を進める際につまずきやすい点
現場取材や情報整理は、実際に進めようとすると社内の事情でつまずくことがあります。よくある3つの壁を挙げます。
現場の協力が得られない
現場取材を計画しても、生産に影響が出るという理由で調整が難しいことがあります。取材の目的と所要時間を事前に共有し、短時間で複数名に話を聞ける形にするなど、進め方の工夫が必要です。
担当者一人に負荷が集中する
採用担当が他業務と兼任している場合、設計から制作まで一人で担うのは現実的ではありません。社内で担う範囲と外部に任せる範囲を、着手前に切り分けておくことをおすすめします。
公開して終わりになる
採用サイトも採用ピッチ資料も、公開後の更新を前提に作る必要があります。誰が、どのタイミングで、何を更新するのかを運用ルールとして決めておくと、情報の陳腐化を防げます。

コンテナの採用コミュニケーション設計サービス
株式会社コンテナは、企業のWEBサイト・コンテンツメディアの制作と運用を手がけてきました。読み手に情報を届けるために積み重ねてきた設計の考え方は、採用においても同じように機能します。誰に、何を、どう届けるかを整理したうえで、必要な制作物をご提供します。
- 採用サイト制作
- 採用動画制作
- 採用ピッチ資料制作
- 求人原稿作成
- 採用オウンドメディア
- 採用ツール導入支援
採用サイト制作
自社の魅力や現場の空気感を伝える採用サイトを制作します。求職者が働く姿を想像できるよう、社員の言葉と現場の写真を軸に構成します。
採用動画制作
文章では伝わりにくい作業の様子や職場の雰囲気を映像で伝えます。採用サイトへの掲載のほか、会社説明会や求人媒体でも活用いただけます。
採用ピッチ資料制作
面接や会社説明会で使用する会社紹介資料を制作します。説明する人によって内容が変わらないよう、伝える順序と内容を資料の形で標準化します。
求人原稿作成
求人媒体に掲載する原稿を、ヒアリングをもとに作成します。仕事のやりがいや職場の様子を言語化し、自社に合う人材からの応募につなげます。
採用オウンドメディア
継続的な情報発信によって、候補者との接点をつくります。社員インタビューや現場レポートを通じて、応募前の段階から自社を知ってもらう状態を目指します。
採用ツール導入支援
採用管理ツールの選定と導入をサポートします。自社の採用フローに合ったツールを提案し、運用が定着するまで伴走します。
貴社の採用課題に合わせた具体的な制作・支援メニューや料金体系は、サービスページにて詳しくご紹介しています。

ご相談から公開までの流れ
- (1)ヒアリング:現在の採用課題、募集職種、これまでの取り組みを伺います。
- (2)設計:ターゲットと伝えるべき情報を整理し、必要な制作物と優先順位をご提案します。
- (3)現場取材:社員へのインタビューと撮影を行い、素材を集めます。
- (4)制作:採用サイト、動画、資料などを制作します。原稿とデザインはご確認いただきながら進めます。
- (5)公開・運用:公開後の更新方法をお伝えし、運用のご相談にも対応します。
よくある質問
Q:求人媒体に掲載していれば、採用サイトは不要ですか?
A:求人媒体は母集団形成、採用サイトは応募意欲を高める役割を担うため、両方の活用をおすすめします。
Q:他社が制作したサイトのリニューアルにも対応できますか?
A:はい、他社制作・自社制作を問わず対応可能です。
Q:どこから着手すべきか分からない状態でも相談できますか?
A:課題の整理からご相談いただけます。現状を伺ったうえで、着手すべき範囲をご提案します。
「誰に・何を」の整理から伴走します。まずはお気軽にご相談ください
採用コミュニケーション設計は、候補者との接点を洗い出し、それぞれの役割を決めることから始まります。求人媒体への掲載や採用サイトの制作は、その設計があってはじめて機能します。
自社の情報が求職者に届いていないと感じている場合は、制作物を増やす前に、誰に何を伝えるかを整理する段階に立ち返ることをおすすめします。
採用コミュニケーション設計サービスに関する無料相談はこちら。
製造業専門求人サイトとして国内トップクラスのシェアを誇る「工場ワークス」にて7年間にわたり、東名阪・九州の拠点で営業・採用支援に従事。現場叩き上げの知見を武器に運用型広告の世界へ転身。 代理店時代にIndeed(シルバーランク)、求人ボックス(ダブルスターランク)の認定を受け、2024年代理店向けの求人ボックス Salesコンテストにて2位を受賞。 月間2,000万円超の広告運用を統括した知見を活かし、地方の中小工場から大手メーカーまで、データと現場感覚を融合させた「勝てる採用マーケティング」を支援。 ■ 認定・受賞実績 求人ボックス 代理店向けSalesコンテスト Summer Cup 2位 (2024) Google 広告「検索広告」認定資格 (2024-) Google 広告「ディスプレイ広告」認定資格 (2024-) Google 広告「AI 活用広告」認定資格 (2025-) Yahoo!広告 検索広告Basic (2025-) ウェブ解析士(2020-2022) 求人情報取扱者(2014-2018)
監修者
株式会社コンテナ 新規事業開発室
吉澤 哲也
製造業専門求人サイトとして国内トップクラスのシェアを誇る「工場ワークス」にて7年間にわたり、東名阪・九州の拠点で営業・採用支援に従事。現場叩き上げの知見を武器に運用型広告の世界へ転身。
代理店時代にIndeed(シルバーランク)、求人ボックス(ダブルスターランク)の認定を受け、2024年代理店向けの求人ボックス Salesコンテストにて2位を受賞。 月間2,000万円超の広告運用を統括した知見を活かし、地方の中小工場から大手メーカーまで、データと現場感覚を融合させた「勝てる採用マーケティング」を支援。
■ 認定・受賞実績
- 求人ボックス 代理店向けSalesコンテスト Summer Cup 2位 (2024)
- Google 広告「検索広告」認定資格 (2024-)
- Google 広告「ディスプレイ広告」認定資格 (2024-)
- Google 広告「AI 活用広告」認定資格 (2025-)
- Yahoo!広告 検索広告Basic (2025-)
- ウェブ解析士(2020-2022)
- 求人情報取扱者(2014-2018)